Project Story 02

世界経済を、止めさせない。

北米向け航空貨物チャータープロジェクト

2020年春頃から本格化した新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、世界経済を支える国際物流にもかつてないほどの混乱をもたらした。国際線旅客便が減便・運休したことに伴い、航空貨物の輸送スペースは大幅に減少。また、海上輸送でもコンテナ不足などにより混乱・遅延する事態が重なった。しかし、それでも世界経済は止まることはなく、経済の生命線である物流は動き続けなければならない。この使命を担うために、近鉄エクスプレスは大きな決断を下した。それは、航空貨物における北米向けチャーター便の常時運用という初めてのチャレンジ。試行錯誤しながらも常に前へと動き続けるプロジェクトがテイクオフした。

Member

  • 営業近藤 哲

    輸出営業部
    新宿輸出営業所 課長
    2002年入社 / 法学部 政治学科卒

  • オペレーション門田 英也

    東京輸出オペレーションセンター 係長
    2010年入社 / 国際社会科学研究科 経営学専攻

  • 本社営業統括・マーケティング上田 知寛

    輸出営業部 課長
    1997年入社 / 外国語学部 イタリア語学科卒

  • 営業北島 嘉幸

    輸出営業部
    新宿輸出営業所 課長
    2001年入社 / 法学部 法律学科卒

  • プロキュアメント内田 英里

    輸出営業部
    2016年入社 / 外国語学部 英米学科卒

Episode01

プロジェクトが動き始めたきっかけは?

発端は、2020年春頃から本格化し始めたコロナ禍の影響です。航空貨物のスペースが大幅減となり、国際物流がかつてないほど混乱する一方で、私が統括する北米向け航空貨物では夏頃から需要が高まるという見込みもありました。このようなマーケットの動きやお客様の要望に応えるべく、チャーター便による貨物輸送を検討することになったのです。
チャーター便とは、“貨物便を1機まるごと自社で確保するもの”。これまで単発的に利用したことはありますが、通常のビジネスの中でチャーター便を継続的に確保するのは、当社史上初めての挑戦でした。

スペースが絞られる状況の中、お客様の動きがもっとも顕著だったのが、私のチームが担当する日系製造メーカーでした。我が国のメーカーにとって、生産用部品を運ぶ北米向けの貨物輸送は生命線の一つ。お客様のサプライチェーンを途切れさせないためにも、私たちは動き続ける必要がありました。そこで、上田さんに相談したのです。

確かに今回のプロジェクトでは、近藤さんや北島さんがいる新宿輸出営業所をはじめ現場の営業から背中を押されて動き出したという面はありましたね。

営業としてチャーター便という新しいビジネスを会社に提案する一方で、予定した出荷がキャンセルになった場合などに備えリスクヘッジも十分にしておく必要があると考えました。そこで近藤さんと2人で徹底的に検討を重ねました。その結果、もし近藤さんのお客様の出荷予定が変更になった場合は、主に近藤さんのお客様とは違う分野の顧客を担当する私のチームが可能な限り貨物を補完することで、少しでもリスクを抑える体制を整えたのです。

このようなチームワークは、今回のプロジェクトのまさに原動力になったと感じています。私が需要の動きを見据えながら全体のプランニングをする。その戦略のもとに、内田さんが航空会社と交渉してチャーター機を確保し、門田さんがチャーター機に搭載する貨物の手配を行う。このようなチームワークが結実し、2020年10月からチャーター便の運用がスタートしたのです。

Episode02

プロジェクトはどのような成功を生み出したのですか?

このプロジェクトが大きな結果を生み出したのは翌2021年4月のこと。当社にとって念願ともいえる大口顧客の開拓に成功したのです。

ええ。私が担当しているお客様の北米向け輸出です。これまで歴代の営業担当が何度もトライしてきたのですが、なかなかその壁を突破できなかった。その千載一遇のチャンスを手にしたのです。
このお客様は、それまで海上貨物によって北米工場へと部品を輸出していました。ところがその海上貨物にコロナ禍でのサプライチェーンの混乱により遅延が発生し、生産用部品を航空便で緊急輸送しなければいけない事態が発生したのです。そのご要望にお応えするために、私たちはチャーター便を活用した提案を行い、初めてのお取引をいただくことができたのです。

新規受注の知らせを近藤さんから聞いた時にはほんとうに驚きました。自分たちが重ねてきたチャレンジから大きなビジネスが動き出したのです。

当時は、少しずつノウハウも蓄積され、チャーター便の運用も順調になり始めていた頃で、スタート時に月1本だった便数も徐々に拡大し、シカゴ、ロサンゼルスともに週2~3便を運用していました。

でも、その前に大きなアクシデントもありましたよね。

実は今話した大口受注の前に、伏線ともいえる山場がありました。あれは2月頃でしょうか。大口案件の問い合わせを頂いた際に、新規ビジネス受注のために先行してチャーター便を確保し、お客様へ提案しましたが、出荷計画自体が見直しになり、正式に受注に至らなかったことがありました。突如空いてしまったチャーター便の貨物スペースを埋めるために、みんなが奔走して手配してくれたのです。感謝の気持ちで一杯でしたね。あの時、メンバーが背中を押してくれたからこそ、凹むことなくチャレンジを続け、みんなで成功を手にすることができたのだと思います。

Episode03

プロジェクトでチームワークを実感した瞬間は?

こうしてプロジェクトは順調に動き始めたと思われたのですが、2021年夏、思わぬピンチに直面することになりました。航空貨物の需要が想定外に落ち込んでしまったのです。航空貨物は「物流の調整弁」ともいわれ、物流マーケットの変化の影響がいち早く現れる傾向があります。その予兆を春先から掴み、調整は行っていたのですが……。自動車業界をはじめ需要の落ち込みが想定以上に大きく、北米向けチャーター便に貨物が思うように集まらなくなってしまったのです。

あの時期はさすがに焦りました。貨物スペースが埋まらないと、それだけ当社が得る利益も下がることになる。「空気を運ぶ」ことだけは回避しようと、みんながそれぞれのポジションで最大限の力を発揮しました。

しかし、今振り返ると、あの局面もそれまで蓄積してきたノウハウとチームプレーで打開することができたように思います。チャーター便の運用が始まって以来、私のチームでは、担当するお客様の情報を改めて収集し、状況に応じて様々なお客様にチャーター便を提案できるよう、体制の下地づくりを進めてきました。さらにこの頃になると、チャーター便の販売手法が社内でも広く認知され始め、ほかの営業拠点でも同様の取り組みが始まっていたことで、幅広い業界からも幅広く貨物を集めることができたのです。

私が担当する航空貨物スペースの仕入れ業務では、これまでは主に門田さんのいる東京のオペレーションセンターと連携していました。それが今回のチャーター便では、リスクヘッジの観点から、東京に加え名古屋、大阪の各センターにも常時情報を提供。あのピンチを切り抜けられたのは、なんといってもこの社内の緊密なネットワークがあったからだと思っています。当社にとって初めてのチャレンジであるチャーター便の常時運用を、全社をあげて成功させようという熱気を感じましたね。

Episode04

近鉄エクスプレスにとって、このプロジェクトの価値は?

みんなで試行錯誤を重ねてきた北米向けチャーター便も、2021年秋でちょうど1年を迎えました。需要予測や販売戦略、プロモーションなど、チャーター便に関わるノウハウを社内に蓄積できたと感じています。

今回のチャーター便がビジネスチャンスとなって新規顧客の開拓にも結びついていることはもちろん、航空貨物における現在のような状況は、今後数年続く可能性があり、そこに向けて、新しいビジネスの基盤を築けたことには大きな価値があると思っています。

そうですね。また、私たちの営業スタイルそのものを変化させる機運が高まっているのも大きな成果だと考えています。例えば、これまではお客様から出荷予約をいただいて貨物スペースを確保するという、どちらかというとお客様のニーズありきのスタイルでした。それがチャーター便という自前の「商品」を持つことによって、こちらから提案してビジネスを仕掛けていくというやり方が可能になったのです。この変化は大きいと思いますね。

そのような変化は、私たちオペレーションセンターでも同じです。最近、チャーター便への早期予約に対してはよりリーズナブルな価格で提供するといった営業所向けのキャンペーンも始めました。新しい業務へのチャレンジは、ノウハウの蓄積ばかりでなく、次なるチャレンジにもつながっています。

私は2020年に現在の輸出営業部に異動し、突としてこのプロジェクトに関わることになりました。手探り状態でのジョインでしたが、この1年間でこれまでにない様々な経験をし、社内に広い人的ネットワークを築くことができ、自分自身にとっても新たな成長につながるプロジェクトだったと実感しています。

このプロジェクトはずっと走り続けてきた感じがありますよね。でも、今日、こうしてみんなで立ち止まって振り返ってみると、大きな仕事を成し遂げたのだなと実感が湧いてきます。それが可能だったのも、重要な意思決定を「現場」に任せるという当社の風土があったからこそ。その意味でも、まさに近鉄エクスプレスらしいプロジェクトだといえるのではないでしょうか。

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